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写真ワークショップ第二部の生徒たち
マークのついた生徒の顔写真をクリックすると作品を見ることができます。

ナム(16)
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ヴォン(21)
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ニャー(17)
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トゥイ(14)
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ニー(11)
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アン(12)
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フォン(12)
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バオ(12)
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タン(14)
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ユン(10)
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写真ワークショップ第二部 生徒共通質問
・名前/年齢
・仕事と収入、夜学の学年
・一日のリズム
・好きな色は何ですか? その理由は?
・将来の夢
・大切にしていること
・拒否すること、嫌いなこと
(1万ドン=約70円)
| 名前 |
質問 |
答え |

ナム(16) |
仕事
学年
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卵を運ぶカゴを作る仕事(15歳から。35万ドン/月)
小学4年
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| 一日 |
6:30に起きて7:00~17:00まで仕事。19:30~20:30まで学校。 |
| 色 |
ピンク |
| 夢 |
画家 |
| 大切 |
家族が幸せになること。 |
| 拒否 |
いくつかあるけど、いますぐは答えられない。 |

ヴォン(21) |
仕事
学年 |
建設現場で砂と水を混ぜる仕事(7歳から働いている。40万ドン/月)
小学3年 |
| 一日 |
5:00に起きて7:00~17:00、18:00まで仕事。夜は学校。 |
| 色 |
赤(国の色だから) |
| 夢 |
写真やビデオや映画を撮る仕事 |
| 大切 |
家族と仕事 |
| 拒否 |
特にない。 |

ニャー(17) |
仕事
学年 |
建設現場でペンキを塗る仕事(15歳から働き始める。60~70万ドン/月)
小学4年 |
| 一日 |
7:00~17:00まで仕事。夜は学校。 |
| 色 |
青 |
| 夢 |
歌手になりたい。 |
| 大切 |
仕事 |
| 拒否 |
特にない。 |

トゥイ(14)
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仕事
学年 |
食堂の手伝い(物を運んだり掃除をしたり。13歳から働き始める。45万ドン/月)
小学5年 |
| 一日 |
6:00に起きて18:00まで仕事。月~金までは18:00から学校。 |
| 色 |
黄色(明るくてきれいだから) |
| 夢 |
絵を描くこと |
| 大切 |
家族 |
| 拒否 |
いろんなことがあって答えられない。おばけが怖い。両親がけんかすること。 |

ニー(11)
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仕事
学年 |
仕事はしていない。夜だけ学校に通っている。
小学4年(教科書代や学費がないから昼の学校には通えない)
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| 一日 |
朝起きたら親戚の子供(2歳)のおもりをする。
(両親が死んだので祖父母、母のきょうだいと住んでいる) |
| 色 |
白(目に留まるし、明るいから) |
| 夢 |
まだわからない。 |
| 大切 |
家族 |
| 拒否 |
親戚のおばさんとおじさんがけんかすること。同級生のニャーからいじめられること。 |

アン(12) |
仕事
学年 |
仕事はしていない。
小学5年
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| 一日 |
昼は妹、弟、親戚の子供のおもりをする。夜は学校。 |
| 色 |
黒(きれいだから) |
| 夢 |
ありません。考えたことない |
| 大切 |
きょうだいと一緒に暮らして遊ぶこと。 |
| 拒否 |
特にない。 |

フォン(12) |
仕事
学年 |
アイスキャンディー屋の手伝い(50万ドン/月)
小学5年
|
| 一日 |
午前中はお母さんの手伝い。14:30~17:30まで仕事。夜は学校。 |
| 色 |
ピンク(きれいで夢のある色だから) |
| 夢 |
ヘアデザイナーになりたい。髪を切ったりセットしたりすることが好きだから。 |
| 大切 |
家族 |
| 拒否 |
おばけが怖い。見たことある。 |

バオ(12) |
仕事
学年 |
お母さんのうどん屋の手伝い(10歳から。給料はない)
小学3年
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| 一日 |
5:00~9:00まで仕事。夜は19:30~20:30まで学校。 |
| 色 |
赤 |
| 夢 |
まだわからない。 |
| 大切 |
家族 |
| 拒否 |
おばけとねずみ。 |

タン(14) |
仕事
学年 |
仕事はしていない。お金がないから家にいて夜だけ学校に行く。
小学5年
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| 色 |
特にない。 |
| 夢 |
まだ考えてない。
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| 大切 |
家族 |
| 拒否 |
特にない。 |

ユン(10) |
仕事
学年 |
仕事はしていない。学校は小学2年まで行ってやめた。
小学4年
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| 一日 |
昼間は3、4、6歳の弟2人、妹1人のおもりをする。夜は学校。 |
| 色 |
青 |
| 夢 |
学校の先生。子供たちに教えるのが好きだから。 |
| 大切 |
お父さんとお母さんと一緒に暮らすこと。 |
| 拒否 |
特にない。 |
<写真ワークショップ第二部 一日目 2007年8月18日>
写真ワークショップ第二部に参加したのは10歳から21歳までの生徒10名(男子5名、女子5名)です。全員が様々な理由で昼間の学校に通えず、ベトナムの教育局が管轄する夜学に通っている生徒たちです。チルドレンズ・パレスのヴァンさんが夜学の先生と連絡を取り、写真や絵に興味を持っている生徒を集めてくださいました。
いつものように互いの顔が見えやすいように輪になって座りましたが、すぐに雰囲気が第一部の時とは異なることに気づきました。生徒たちが極度の緊張感に包まれているというか、シャイというのとは少し違う、こちらまで緊張を強いられるような、張りつめたような空気が漂っています。昼間の学校へ行かずに日々大人たちに囲まれている生活をしているため、われわれ大人の出方を見ているのかな、と感じました。少しでも手を抜いたり、いい加減な態度で接したりしたら、すべて見透かされてしまうでしょう。もちろんどんな境遇の生徒に対しても真摯に対応しているつもりではいるのですが、より一層の緊張感がこちらにも走ります。
橋口「みんな、これから数日間一緒に『ワークショップ』をします。聞きなれない言葉だと思いますが、どんなことをする教室だと思いますか?」
しんと静まりかえる中、トゥイがおずおずと手を挙げました。
トゥイ「写真を撮る勉強をするんだと思います」
橋口「そうです。でも写真だけではありません。写真を撮りながら、一緒にいろんなことを勉強します。なぜこんなことをするんだろうと思うかもしれないけれど、一緒に楽しく悩みましょう。始める前に、みんなのことを知りたいと思います。少しずつ自分のことを教えてください」
そして相手のことをよく知るための質問を始めました。第二部の生徒は全員が夜学に通っているため、仕事と収入、夜学の学年、そして一日の生活のリズムも聞きました。彼らの生活をより詳しく知りたかったからです。
・名前/年齢
・仕事と収入、夜学の学年
・一日のリズム
・好きな色は何ですか? その理由は?
・将来の夢
・大切にしていること
・拒否すること、嫌いなこと
まず気づいたのは、言葉を探すのに時間がかかる生徒が多かったことでした。何か声に出そうとしているのだけれど、うまく言葉が見つからず、声が出てこないようでした。自分自身のことを尋ねられことがあまりないのかもしれません。また、何かを言葉で表現したりすることにあまり慣れていないのかもしれません。生徒が言葉につまるたび、「焦らないでいいからね。合っているとか間違っているとかそんなことは関係ないんだから、ゆっくり考えて言葉にしてみよう」と待ちました。
振り返ってみれば、その時はあまり意識もしなかったのですが、第一部の生徒たちは語彙が豊富でした。それは教育の賜物なのだと思います。しかしこれは語彙の豊富さを比較するワークショップではありません。むしろ、言葉で伝えきれない思いや感情を、カメラという道具を借りて表現するワークショップですから、多くの言葉を持たない彼らにもまったくハンディはないのです。
生徒が言葉につまるたび、心の中で「がんばれ、がんばれ」と声をかけました。
第二部のワークショップは生徒が10名と少ない数なので、午前中にカメラの基本的な扱い方までいけそうです。休憩を挟み、カメラの使い方指導に入りました。カメラを使うにあたっての注意事項は第一部とまったく同じです。ひとりひとりの首にカメラをかけ、まずはその重さを実感してもらいました。

一人一人の首にカメラをかけていきます
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ユンはとっても嬉しそう |
思いがけなかったことは、第二部の生徒たちは体の小さな子が多かったため、第一部の時の設定のままではカメラのストラップが長すぎてしまったことでした。小さなバオやユンは、カメラが下腹のところまで下がってしまいます。急遽スタッフは一人一人のストラップの長さを調整しました。

タンのストラップを調整する塚田さん
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バオの調整をする美穂さん
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レンズと対象との距離感などをレクチャーする前に、まずはそれぞれカメラの感触を楽しんでもらいました。実際カメラを手にしてレンズをのぞきこんだ途端、生徒たちの顔がみるみる喜びに満ちていくのがわかりました。
橋口「どうですか、カメラを初めて手にしてみて?」
ナム「緊張する」
ニャー「おもしろい。少し緊張する」
ヴォン「まだ慣れない」
ニー「楽しい」
トゥイ「初めて触って、嬉しい。撮りたい気持ちになってきた」
ユン「おもしろい。珍しい」
フォン「緊張する」
アン「レンズをのぞいたら、きれいに撮れそうな気がする」
バオ「手で触っていると楽しい」
タン「ボタンを押すと楽しい」
アン「カメラは持って帰れますか? 近所の友達とかを撮りたいです」
橋口「一枚は撮ってもいいです。家族や友達を撮りたい気持ちはわかるけど、でも自分が撮ることに集中してみよう。難しいけど、がんばろうね」
質疑応答の時とは打って変わって、生徒たちから言葉が溢れ出しました。カメラを手にしたことで、感情がほとばしり始めたからだと思います。何の根拠もありませんが、この時、「大丈夫だ!」という確信のようなものを持ちました。

満面の笑みを浮かべるトゥイ(中央)
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対象との距離やシャッターを押す感触を、
一人一人確かめます
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せっかくカメラの扱いに少し慣れたところで昼食に入ってしまうのはもったいないので、変則的ですが、フィルムを入れずに空シャッターを切って、まずは撮ることに慣れる練習をしました。第一部ではチルドレンズ・パレス内でフィルムを入れて撮影しながら練習したのですが、狭い範囲内で興味の対象を探しきれず、フィルムを無駄に使ってしまった生徒が少なからずいたのも事実でした。なので第二部では、慣れるまではフィルムを入れずにチルドレンズ・パレス内で練習し、午後からはフィルムを入れて外の世界を撮影する、という方針に切り替えました。
午後は、いよいよ写真を撮りに出かけます。
<昼食>
第一部の時もそうでしたが、第二部でも生徒たちと一緒に食堂で昼ごはんを食べました。第一部では昼寝は各自家に帰ってとりましたが(生徒たちがそう希望したため)、第二部の生徒は昼寝もチルドレンズ・パレスで一緒にとりました。おそらく家に帰ってもゆっくり昼寝をしていられる環境ではないからだと思われます。
年上の子たちが率先して小さな子にごはんをよそい、おかずを取り分けていました。そして食事の準備が整うと、ものすごい勢いでごはんをたいらげ、何杯もおかわりしていました。おかずもほとんど残りませんでした。そしてごはんを食べ終わると、食堂で働くトゥイと最年長のヴォンが率先して残飯や食器を片付け、テーブルと椅子まですべて、あっという間に片付けてしまいました。食堂のおばさんたちは手助けをするそぶりも見せず、彼らに片付けさせています。その様子を見たら泣けてきました。
思い起こせば、第一部の生徒たちはごはんを食べ終わったあと、片付けずに食堂をあとにしていました。そして第一部の生徒たちが立ち去ったあとを何もいわずに黙々と片付けていた食堂のおばさんたちが、第二部の生徒たちには自分たちで片付けさせている様子に衝撃を受けました。彼らは大人たちから、常にこういう視線を投げかけられているのでしょう。
「君たちのためにも、絶対いいワークショップにするからね」
そう心に誓いました。

朝とは別人のように、
生徒たちの表情が柔らかくなりました
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とりあえず最初の記念撮影
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昼寝の間も私たちはディスカッションを重ねていました。これからどのようにワークショップを行っていくか、という点についてです。
第二部の生徒は年齢にかかわらず体の小さな子が多く、一人一人ばらばらに街へ出すには体力的に一抹の不安を感じました。もし途中で具合が悪くなったり、事故にあったりでもしたら大変です。また食堂での一件を例にとっても、街の大人たちからちょっかいを出されたり、「なぜおまえがそんないいカメラを持っているんだ」と難癖をつけられたりする可能性も否定はできません。変則的ですが、ある程度団体行動をとりながら、行った先々で、私たちスタッフが見守る中で自由に写真を撮るという方向で進めたほうがいいのではないかと思えました。
そこで午後は、全員一緒にトゥイホア駅へ行って撮影をすることにしました。
<午後>
生徒とスタッフが手をとりあってトゥイホア駅へ向かいました。チルドレンズ・パレスからは歩いて30分ほどの距離です。チルドレンズ・パレスのヴァンさんが事前に駅と連絡をとり、撮影許可をもらってくれました。また生徒たちは帽子を持っていなかったので、全員分の帽子もどこからかかき集めてくれました。ありがたいことです。日本人の、しかも特に歩くことが苦でも何でもない私たちにとっては、街の風景を見たいという気持ちもあり、なんてことはない距離でしたが、生徒たちにとっては炎天下を延々と歩き続けるのは少々しんどかったかもしれません。

駅までとにかく歩き続けました
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とりあえずレンズをのぞいてみます
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駅に着くと、とりあえず自由撮影として様子を見ました。突然自由にされ、何を撮ったらいいのかわからずにとまどっているようでした。ニャーがプラットフォームをずんずん遠くへ歩き始めました。何か撮りたいアングルが決まったのかな、と期待に胸を膨らませて見守っていると、やおら後ろを向いて立ち小便を始めました!
何かヒントは教えたほうがいいのかもしれないと思い、にわかレクチャーをしました。
橋口「みんな集まって。この風景の中で、みんなはどこが面白いと思うかな?」
トゥイ「かかっている洋服が面白いです」
バオ「僕はこの看板が好きです」
橋口「そう思ったら、そのものに近づいてシャッターを押せばいいんだ。興味を持ったものにまっすぐ向かうこと、それが大切だよ。
人を撮る時も同じ。興味を持ったら、『撮ってもいいですか?』と挨拶する。『どうして撮りたいのか?』と聞かれたらちゃんと理由を説明する。そして撮ったあとはお礼をいう。そういうことがとても大切なんだ」

レクチャーを受けるトゥイ(左)とニャー(右)
ビデオ撮影をしているのは瀧澤さん
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ヴォンは人に興味を向けました
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簡単なレクチャーをしたあと、再び駅前広場でしばらく自由時間を持ちました。プラットホームでは団子になって固まっていた生徒たちが、自分の興味に向かってばらけ始めました。バオは鳥かごやオートバイにレンズを向け、ナムは果物屋に、ヴォンは広場で休むお年寄りにレンズを向けていました。大丈夫、ヒントを掴んでくれたようです。
休憩と栄養補給を兼ねて砂糖キビジュースをみんなで飲み、帰る方向へ向かいました。生徒の安全のために私は一番後ろを歩いていたのですが、往路とは打って変わり、生徒たちがいろいろなものに興味を向け始めたことに気づきました。教会を通りがかれば、「ちょっと入ってもいいですか?」と積極的に入ろうとし、商店の軒先の植物や店に並んでいる水槽といったものにも立ち止まります。また最年長のヴォンは年下の生徒に対し、得意げに「こうやって撮ってごらん」と指南したりしています。好奇心を持って何かを見る面白さに気づき始めたことに加え、今日の自由な時間がもうすぐ終わってしまうという焦りが、集中力を高めていたのだと思います。

トゥイホア駅前の風景
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砂糖キビジュース屋さん
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帰る道々、バオとフォンが、電池が切れたように道にへたりこんでしまいました。二人はみんなが昼寝をしていた時間、チルドレンズ・パレスじゅうを駆け回って遊んでいたため、体力を余計に消耗してしまったようです。脱水症状になってはいけないので水を飲ませ、3人がかりで体を支えながらゆっくり歩いて教室に戻りました。生徒のスタミナ切れは、今後も留意しなければいけない問題です。
しかし翌日私たちは、出来上がった写真を見て知るのでした。二人がへたりこんでしまった理由が、遊び回っていたからだけではなかったことを。 (2008/01/09 星野)
<写真ワークショップ第二部 二日目 2007年8月19日>
今日は午前中に写真をめぐるディスカッションをし、午後からは再び撮影に出かけます。生徒たちが写真を見る時に使う手袋を、美穂さんが洗濯しておいてくれました。
前日授業の合間に、私たちは今後のワークショップの進めかたについて話し合っていました。これまでもインドでワークショップを行った時、学校へ行かずに働いている生徒がいました。学校へ行っている子、働いている子が同じ教室で一緒にワークショップに参加しました。混ざりあうことで、ワークショップにもう一つの意味が生まれると思ったからです。
しかし今回は第一部が学校へ行っている子、第二部が学校へ行っていない子、と分かれてしまいました。なんとかしてお互いが混ざりあって刺激しあうことはできないだろうか。そして話し合いの結果、第一部の参加者で時間があって興味がある人に、第二部にも来てお手伝いをしてくれないか、と声をかけることにしました。幸い前日、駅からチルドレンズ・パレスへ戻る道中で第一部の参加者、ロンにばったり会っていました。
「明日から教室に来てお手伝いをしてくれないか? 他の子たちにも声をかけてみてほしい」
ロンは快く引き受けてくれました。

部屋に干してある手袋
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ホテルのベランダから見える風景 |
この日はチルドレンズ・パレス独自の催しが午前中開かれていたため、急遽教室に移っての授業となりました。ロン、ダット、ミン、ヴァン、フイ(午前中のみ)が手伝いにかけつけてくれました。
橋口「さあ、みんなにこれから昨日撮った写真を配ります。まずはそれをじっくり見ることから始めよう。友達の写真も見たいと思うけど、まずは自分の写真を見よう。
今日からみんなの手伝いをしてくれる生徒を紹介します。先週ワークショップに参加したミンやロンです。僕らに聞きにくいことでも彼らに聞いてください」
写真を配ると、生徒たちは驚きの表情を浮かべています。一番小さなユンは、袋の中から取り出した写真を一枚一枚めくりながら、写真をいとおしむかのように、ずっと独り言をいっていました。ロンやミンはまず、各自が写真の裏に名前を書き入れるところから手伝います。
まだカメラの扱いに慣れていないこと、そして全員が駅という一つの場所で撮影したことなど、生徒たちがどんな写真を撮ってくるのか若干の不安材料があったのも事実です。しかしふたを開けてみたら、そんな心配が杞憂であったことがわかりました。初めてカメラを持った珍しさから、自分と友達で写真を撮りっこしていたのは数枚あっただけで、あとの生徒はとまどいながらも必死に何かを探していることが写真から伝わってきました。

バオ(左)とユン(右)を手伝うミン
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ロン(左)はナム(右)を手伝います |
・ニーはなにげないものや、空に目を向けているところが印象的でした。
「教会やお寺といった誰が見ても価値がわかるものと、ニーにしか探せない美しさというものがある。そういうものを今日も探す努力をしてみよう。ニーはなんでもない木や自動販売機がきれいに撮れている。よくがんばったね」
・トゥイは途中からパノラマになってしまいました。駅の写真はほとんどなく、まだとまどっていたようですが、帰りの道々、商店の軒先や道端の植物に目を向けていました。
「トゥイもいい写真がたくさんある。落ちた花びらに興味を持ったら、今度はそれに近寄って撮ってみるといい。また違う風に見えてくるよ。今日はもっと気持ちが動いたものにまっすぐ向かってみよう」
・ニャーもまた、帰りの道々で集中力を出した生徒でした。前日、商店の店先に置かれた水槽に興味を惹かれ、撮りたいけれど入っていく勇気がなくてうろうろしていたところ、「撮らせてください、と声をかけてごらん」とアドバイスをしました。
「ニャーもいい写真がたくさんある。今日は、もっと引いたり寄ったりすることを意識してみよう。興味を持ったものは間違いないから、もう一歩踏み込んでみる練習を今日はしよう。
ほら、トゥイとニャーは同じ果物屋の写真を撮っているけれど、二人の写真は全然違うでしょう。同じものを見ても、その人の背や距離によって、見えてくるものは変わってくるんだ。近づいたり離れたりすることで、また見え方が変わってくるよ」

写真を並べるニーはとても楽しそう
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友達の写真にも興味津々です |
・ナムは「駅」を表現していました。またタテ位置の切り取り方が印象的です。
「ナムは街路の普通の木を撮る意味と、盆栽を撮る意味の違いがわかっているね。駅という場所の空気を感じた上で、駅の雰囲気を撮っている。よく短い時間の中で集中したね」
・ヴォンは、最年長で年下の生徒たちの面倒を見ていたことで、少し時間をとられすぎてしまったようでした。でも人に興味を持ってレンズを向けている一生懸命な様子が伝わってきます。
「ヴォンはみんなの世話をしていたから、あまり集中できなかったかな。今日は自分のために時間を使おう。見た風景の中で物語を作ることを考えてみよう」
・タンはなんとか風景を撮ろうとしていることが伝わってくるのですが、急いで撮ってしまうらしく、中途半端に人が写っている写真が何枚かありました。
「タンはちょっと急いで撮りすぎたかな。ゆっくり撮ることを心がけよう。そこにいる人がいなくなるまで待って撮ってみよう。そうすると撮りたいものがもっとはっきりする。でも大丈夫、あと二日ある。一人一人スピードが違うから、今日いい写真がなくても焦ることはないからね」

ヴァンさん(左)に写真を見せるヴォン
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バオのセレクトを手伝うダット(右) |
・驚いたのはバオでした。へんな言い方ですが、捨てる写真がほとんどありません。撮りたいものに意識がきちんとフォーカスされています。
「バオは他の人と同じく果物屋を撮っているけど、それのどこに興味を持ったのかがはっきりわかる。それに偶然のシャッターチャンスを面白く撮っている。僕もバオと同じ場所にいたけど、僕の気づかなかったものにバオは気づいている。それはとても大切なこと。
昨日バオは最後、疲れ果てて歩けなくなってしまいました。でもいまはその理由がよくわかる。風景を一生懸命見ていたから、疲れてしまったんだ。がんばったね」
・バオのあと、やはり昨日倒れかけてしまったフォンの写真を見に回りました。やはりフォンもフォーカスされた写真をたくさん撮っていました。ところがこのフォン、おてんばな女の子で、一時も同じ場所でじっとしていることができません。机に写真を並べたまま、他の子の写真を見に行っていました。
「フォン、せっかくいい写真があるんだから、自分の写真をじっくり見よう。フォンも駅で一つの物語ができている。フォンの写真は、一枚の中にたくさんの物語があるね。一生懸命風景を探していることがよく伝わってくる。フォンが倒れた理由もよくわかる」
・ユンは初めてカメラを持ったことがよほど嬉しかったのか、何枚かポーズをとった自分の写真を写していました。
橋口「ユンはさっき写真を見ながら独り言をいっていたけど、あれはなんていっていたの?」
ユン「きれい、といっていました」
橋口「今日はもう自分の写真を撮るのはやめようね。ユンは小さいけど、小さいからこそ他の子には撮れない写真が撮れている。おもしろいアップがたくさんある。背が低いから見ている視点が違うんだね。今日もがんばってみよう」
・アンは対象にきちんと寄っているのが印象的でした。
「アンはハンモックで昼寝をするおじさんを撮るにもベンチで休むおじいさんを撮るにも、遠慮しないで寄って撮っている。とてもうまい。
駅にブーゲンビリアの木や物を入れる木枠がありました。僕がカメラを持っていたら撮りたいなと思っていました。誰か撮るかなあと思ってたんだけど、その両方ともアンが撮っていた。興味を持ったものがきちんと伝わってくるね。今日もこの調子でいこう」

写真をほめられて誇らしそうなフォン(水色)
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生徒たちはとても集中していました |
一通り生徒の写真を見終えたところで休憩をとることにしました。第一部では昼食まで休憩なしに授業を進めたのですが、昨日から見ているだけでも、生徒たちはあまり朝食を食べていないらしく、集中した時間がしばらく続くと電池が切れるようにぐったりしてしまうのです。手伝いに来てくれていたダットに、人数分のおやつやキャンディーを買ってくるよう頼みました。おやつをおなかに入れて一休みすると、再び元気を取り戻しました。
橋口「みんな、昨日撮った写真をいま一通り見たわけだけど、自分の写真を見てどう思いましたか? 思ったように撮れましたか?」
ニャー「きれい」
ヴォン「…………」
一生懸命言葉を探していますが、なかなか言葉が出てきません。
橋口「焦ることはない。ゆっくり言葉にしてみよう。じゃあナムはどうですか?」
ナム「あまりきれいにならなかった。思ったように撮れなかった。もっと集中したほうがいいと思いました」
橋口「僕らだって、こう撮りたいと考えていると撮れなくなる。感覚で撮ってみよう」
バオ「…………」
橋口「バオの写真を見ていたら、昨日彼がふらふらになっていた理由がよくわかった。一生懸命風景を探そうとしていたから。今度はなんでもいいから、思ったことを言葉にすることを練習してみようね。ヴォンは何か浮かびましたか?」
ヴォン「…………」
一生懸命言葉を探しています。
ヴォン「昨日撮った時、あまり距離のことを考えていなかったと思います」
橋口「じゃあ今日はそれを考えてみよう」
ニー「まだあまりきれいと感じない」
トゥイ「自分の意志で撮りたい写真が撮れなかった。今日の午後からはもっとちゃんと撮りたい」
アン「いっぱい撮って、気に入った写真もいっぱいあった」
ユン「あんまりよくわからないけど、けっこうきれいに撮れた」
フォン「自分の写真と友達の写真と、とても印象に残った」
タン「写真がきれいに見える」
橋口「これから昼食を食べて昼寝をしたあと、午後からまた撮影に出かけます。今日は市場へ行こうと思いますが、どうですか? それとも他に行きたいところがありますか?」
昨日の授業のあと、私たちは今後の撮影場所に関して話し合いをしていました。前日、バオとフォンがスタミナ切れになったことを考えても、やはりみんなで同じ場所へ出かけ、何か問題があったらすぐスタッフのところへ帰って来られる場所で撮影したほうがいいのではないか、という結論に至っていました。そして浮かんだ候補地が市場だったのです。
ニャーからは「トゥアンタオに行きたい」という意見が出ました。トゥアンタオというのはトゥイホア市内のテーマパークで、簡易遊技場やレストランがある場所です。ニー、トゥイ、アンからは「山に行きたい」という意見が出ました。
橋口「みんな、遠足で遊びに行くんじゃないからね。あくまで写真を撮りに行くんだ。そこのところよく考えて」
するとナムが手を挙げました。
ナム「テーマパークは作られた世界だし、みんな行ったら絶対に遊んでしまう。市場なら自然な写真が撮れます。僕は市場がいいと思います」
ナムの意見が決め手となり、午後は市場へ出かけることになりました。
<お昼の風景>

ヴォン(水色)は年下の生徒の面倒を
本当によく見ていました
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バオ(白)は昼寝の時間も遊びたくて仕方ありません
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じゃれながら眠る、本当に仲のよい
アン、ニー、トゥイ
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ナムは昼寝の時もマイペースで、
一人でいることを好みました
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昨日バオとフォンが最後にへたってしまったことを反省し、昼食後の昼寝の時間は生徒たちにきちんと休むよう、徹底しました。ところが再三注意をしても、フォン、ユン、バオは走り回って遊んでいます。何度スタッフやヴォンが連れ戻しても、いつの間にかどこかへ飛んでいってしまうのです。困ったなあ、と思いながら見ていましたが、それと同時に、彼らはこうやって同世代の子供たちと広い場所遊び回る時間がほとんどないのではないか、とも思いました。バオは早朝からお母さんの屋台の手伝いをし、フォンはアイスキャンディー屋で働き、ユンはほとんど一日中室内で弟妹の子守をしています。そんな彼らの日常を想像したら、あまり強く注意するのもかわいそうになってしまいました。
<午後>
午後は2時から市場へ写真を撮りに出かけました。チルドレンズ・パレスから市場までは歩いて15分ほどの距離です。市場へ着くと私たちは、手伝いに来てくれたミン、ロン、ダット、ヴァンをリーダーにして生徒を4つのグループに分け、4時に市場入り口で全員が集合することにしました。リーダーたちにはそれぞれミネラルウォーターを渡し、できるだけ生徒に水を飲んでもらうように指示しました。私たちは4時まで入り口に待機し、何か問題などあれば対処します。トゥイホアの市場は想像以上に複雑に入り組んでおり、あっという間に生徒たちの姿は見えなくなりました。
ワークショップの間はほとんど自由時間のない私たちも、しばし市場散策を楽しみました。連日のハードワークで体調を崩していた通訳のヤンさんは、ジューススタンドで特製スタミナアロエジュースを作ってもらいました。市場のおばさんたちは塚田さんの姿を見ると声をかけてきます。塚田さんがトゥイホアの人たちの生活に溶けこんでいる様子が伝わってきました。

我々もしばし散策を楽しみました
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にんにく売りのおばあさん
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とうがらし |

ちまき |

楽しそうに写真を撮るニャー |

カメラの構え方がすでに板についてきたナム |
4時が近づくと続々と生徒たちが帰って来ました。戻ってきた生徒から順に水を飲ませ、ザボンの実と菓子パンを渡して栄養補給をします。すると戻ってきた時には興奮気味で元気いっぱいだったバオが、友達とじゃれあっているうちに突然ふっと座りこんでしまいました。慌てて横に寝かせ、水を飲ませて介抱します。フォンもまた、ザボンの実を食べている間に座りこんでしまいました。やはり明日からは、叱ってでもきちんと昼寝をさせなければならなそうです。
橋口「みんな、今日は市場で写真を撮ってどうでしたか?」
アン「たくさん撮ったけど、きれいなものはあまりないです」
ヴォン「ふだん見ている市場と、今日見た市場は少し違いました」
ナム「市場は面白い。きれいなものもたくさんありました」
トゥイ「まあまあだけど、写真はきっときれいじゃないと思う」
ユン「思ったよりうまく撮れなかった」
フォン「きれいな写真もあるけど、あまりきれいじゃないのもある」
バオ「まあまあです」
タン「市場をゆっくり見たらきれいでした」
橋口「明日、また写真を見ながらいろいろ話そうね。手伝いで一緒に歩いた人たちはどうでしたか?」
ミン「楽しかったけど、市場のおばさんたちにいろいろ声をかけられて時間がかかりました」
ダット「中に入ってゆっくり歩いてみたら、いろんな発見があった。自分はいままで、外ばかりを撮っていました」
ロン「何人か一緒だったから、撮ったものが少し似ているかもしれません」
ヴァン「自分が写真を撮っていた時はあまりよく見えなかったけど、今日はいろんな発見がありました」
橋口「ヴァンはいいところに気づいたね。カメラを持っている時と持っていない時では、持っていない時のほうがよく見えることもある。だから僕も最初は、カメラを持たずに歩くんです。
バオとフォンは、本当に明日の昼はちゃんと休もうね。でないと、撮影に出られないぞ。他の子も、二人が休んでいる時にちょっかいを出さないこと」
そしてヴァンが調子を崩したバオとフォンを気遣い、自転車の後ろに二人を乗せてチルドレンズ・パレスまで行ってくれました。

フォン(左)の世話をするヴァン
塚田さんと譲二さん、秀実くん |

生徒たちにすっかりなつかれ、
楽しそうに歩く譲二さんと塚田さん |
チルドレンズ・パレスに戻って解散したあと、あらためて手伝いに来てくれた生徒たちにお礼をいいました。
「みんな助けに来てくれて本当にありがとう。第二部に参加している子たちが年齢が若いことと、学校に慣れていないことで、接し方が難しい部分があったけど、みんなのおかげで本当に助かりました。明日も時間があったら助けてください」
同じ街で暮らしながら異なるコミュニティーに属し、これまであまり接する機会のなかった生徒たちが一緒に時間を過ごしてお互いを知ることは、双方の生徒たちにとってプラスになったのではないでしょうか。これもまた、もう一つのワークショップです。
市場で生徒たちが撮った写真を見るのが、いまから楽しみです。(2008/01/13 星野)
<写真ワークショップ第二部 三日目 2007年8月20日>
早いもので、第二部ワークショップも写真を撮影するのは今日が最後になってしまいました。朝から抜けるような青空が広がっています。生徒たちが最後に撮影する日が晴天で本当によかったです。
朝8時に教室に着くと、生徒たちはずいぶん早くから集まっていたらしく、自主的に掃除を始めていました。その気持ちが嬉しいです。またバオとタンは早い時間から2階で走り回っていたらしく、「転んだりしてケガをすると危ないので、気をつけてください」とチルドレンズ・パレスの職員の方から注意を受けました。彼らが遊びたい気持ちもわかるし、でも確かに危ないので、注意をしました。二日間手伝ってくれたロン、ヴァン、ミン、ダットに加え、ヴィ(14)も手伝いにかけつけてくれました。
橋口「みんな、早くから集まってくれてありがとう。今朝はここへ来るまで、どんなリズムで過ごしていたんですか?」
ユン「6時に起きて、家の近所で遊んでいました」
ヴォン「5時に起きて運動してました」
橋口「どんな運動?」
ヴォン「10Kmくらい走ってきました」
橋口「すごいなあ。体力があるんだね。よく運動するの?」
ヴォン「はい。仕事がある時もよく走ります」
ナム「6時半に起きて朝ごはんを食べました。それから家の手伝いをしてからここに来ました」
そしてバオは朝起きてからここへ来るまで、お母さんのうどん屋を手伝っていました。彼が撮影のあとにスタミナ切れになってしまうのも、仕方のないことかもしれません。

掃き掃除をするナム、トゥイ、ニー
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ヴィがみんなに自己紹介をします
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写真を配り、各自まずは自分の写真を並べて向き合います。ざっと見渡しただけで、思わず小さくガッツポーズが出ました。昨日彼らが集中していたことが一目でわかります。
・まず目に留まったのは、トゥイやニーにちょっかいばかり出しているお調子者のニャーでした。ニャーは前日も調子を崩して倒れてしまったバオにちょっかいを出し、私たちからしこたま叱られたばかりでした。
橋口「どう? 自分の写真を見て」
ニャー「昨日の写真よりきれいに見えます」
橋口「ただきれいなだけじゃないぞ。君の写真は一つの世界を表現していると思う。この写真を見て。スイカやパイナップルやココナツがまるで生き物みたいに見える。
ニャー、ふざけないでやればできるじゃないか。いい写真を撮っているから、自信を持って。次はこの中から、雰囲気が違うと思うものを外してみよう」
ニャーはしきりに照れ笑いをしていました。
・フォンは市場にいる人を撮っているところが印象的でした。
「一生懸命撮ったことが伝わってくる。写真がいままでとは全然違うね」
・バオは、昨日は市場で売られているものばかりに目がいってしまったようでした。
「バオは昨日と少し雰囲気が違うね。工業製品や家電製品みたいなものに目が行き過ぎている。今日はもうちょっと考えよう。感情が動くものに目を向けてみよう」
・タンは市場で物乞いをするおじいさんを撮っていました。
橋口「どうしてこの人を撮ったの?」
タン「かわいそうな人だから」
橋口「昨日の写真は待ちきれずにシャッターを押してたけど、今日はじっくり撮っている。今日も引き続き、ゆっくり眺めることをしてみようね」

すっかり仲良しになったナム(左)とタン(右)
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写真を並べ替えるトゥイ(左)とアン(右)
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・アンは光と影を無意識に拾い集めていました。朽ちたポスターや魚など、アップの撮り方が絶妙です。色彩感覚がとても豊かです。
「よくがんばったね。ほとんど捨てるものがない。選んだ中から、もう一度選び直してみよう。そうするともっとよくなる」
・ヴォンは昨日「距離感を考えてみよう」とアドバイスされたことに少し縛られてしまったようでした。
「ヴォンは頭で考えすぎてしまったのかもしれないね。撮る形にこだわってしまった。難しいかもしれないけど、今日は構図を考えずに、ふっと気持ちが惹かれたものにすぐシャッターを押してみよう。あとはもう少し近づいてみること。気持ちに素直になってみよう」
・ユンは数は少ないけれど、やはりアップが印象的でした。
橋口「ユンはどうですか、自分の写真を見て?」
ユン「まあまあいい」
橋口「ユンは小さいから、他の子より対象がアップになってしまう。でもそこが面白い」

ユン(左)を手伝うヴィ(右)
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ニャー(左)を手伝うダット(右)
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・特に目を引いたのはナムでした。対象に寄ったり引いたり、無意識のうちに彼独自の距離感というものをすでに身に着けているようです。
橋口「よくやった。ナムは自分で市場に行きたいと主張しただけあって、写真に気持ちが入っている。他の人もあとでナムの写真を見てごらん。たいしたもんだ。第一部の子たちも集まって。ナムの写真を見て、どんなことを感じますか?」
ロン「印象がすごく強い。普通の人が気づかない角度からものを見ていると思います」
橋口「それこそ、ナムの個性なんです」
ヴァン「ものに近寄って撮っている。写真を撮った人のいいたいことが伝わってきます」
ヴィ「写真がきれいです。近くに寄って撮っているけど、トゥ(第一部参加者)の写真とはまた違った魅力を感じます」
ダット「写真が自然で、色がきれい。アングルがいいと思います」
ミン「色がきれいで、写真のバランスがとれていると思います。市場のいろんな角度が見えてきます」
橋口「いまみんなに写真の感想を聞きました。写真も絵も文章も、作ることも大切だけど、人のを見て思ったことを口にするのもとても大切なことです。どの意見が正しいとか正しくないとか、そういうことは考えず、感じたことは自信を持って話すことが大切です」
・トゥイも印象的な写真がたくさんありました。興味を持ったものにぐっと近寄っています。
「トゥイもよくがんばったね」
・ニーは市場で働く女の人たちにストレートに興味を向けていました。そして市場の隙間からわずかにのぞく空の写真を何枚か撮っていました。
橋口「ニーのよさは、みんなが地面を見ている時に、空を見上げているところ。市場で空を探したのはニーだけだ。ニーはどうして空を撮ったの?」
ニー「…………」
橋口「それが君の個性なんだ」
ここでとりあえず休憩を挟み、生徒たちはおやつを食べました。連日、午前中のアン、トゥイ、ニにがあまり元気がないことが気になっていました。朝ごはんを食べておらず、疲れきっているのかもしれません。おやつを食べたら、彼女たちも元気を回復しました。
生徒たちがおやつを食べている間、私たちはもう一度生徒たちの写真を見て回り、見落としている点がないか確認しました。時間をおいて見ると、また違った見え方がしてくるからです。

走り回って案の定親指をけがしてしまったバオを
介抱するヴァン
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写真を見て考えこむヴォン
ヴォンの写真をじっと見つめるユン
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・フォンはシャッターチャンスをとらえるのが得意でした。本人がおてんばなせいか、写真にも動きがあります。
・面白いことに、ユンは何枚かの写真をさかさまに並べていました。「これは逆じゃない?」と聞くと、「これでいい」といいます。おそらく見たものを理屈でなく、映像として面白さをとらえているのでしょう。それはそれで、また彼女の個性です。
「ユンの写真は数が少ないけど、それがわるいわけではなく、選んで少なくすることでより特徴が際立つ写真です。枚数少なくても、とても強い写真だ」
・バオは前日と昨日の違いがやはり少し気になります。
橋口「バオは昨日は少し疲れていたのかな。一日目はとても集中していたのに、どうして昨日は集中できなかったのかな?」
バオ「市場の魚が臭くて、集中できませんでした」
橋口「(笑)じゃあ昨日は忘れて、今日は気持ちをあらたにしようね。今日はちゃんと昼寝をするんだぞ」
・タンは逆に、一日目と打って変わって集中していました。
「タンは昨日はがんばったね。シャッターチャンスを逃していないし、発見している。距離感がとてもいいね」
そういうとタンは歯をむき出しにしてほほえみました。
・さきほど「頭を使いすぎてしまったね」と評されて少しがっかりしていたヴォンでしたが、再度写真を並び替えてみると、また違ったものが見えてきました。
「さっきは僕もタテ写真に引きずられすぎてしまったけど、タテとヨコを混ぜてみたらずいぶん印象が変わってよくなった。今日も、タテとかヨコとかあまり考えず、気持ちが動いたものにカメラを向けてみようね」
そういうとヴォンはほっとした表情をしていました。
・やはり目を引くのはアンの写真でした。アンは日頃からとても疲れているらしく、活発ではないため、教室ではとても静かであまり目立たちませんが、その分、写真が雄弁にいろんな思いを語っているようです。表現ということに、日常の語彙の豊富さは関係ない、ということをあらためて再認識しました。
橋口「第一部の子たち、集まって。アンの写真のよさはどこにあると思いますか?」
ヴィ「光を撮っているところ」
ヴァン「陰影を感じます。コントラストがとてもフォトジェニック。その場の空気を感じます」
ダット「視野が広い」
ロン「動いてる、生きてる感じがします」
橋口「アンは、光を探してぐっと寄っているのが印象的だね。シャッターチャンスも逃していない。よくがんばったと思います。
みんな、自分の写真を見て選ぶのも面白いけど、人の写真を見るのも勉強になるでしょう?」
第一部の生徒たちは、神妙な面持ちでうなずいていました。
ここで午前の授業は終わりにして生徒たちには休憩に入ってもらい、私たちはチルドレンズ・パレスのヴァンさんや塚田さんと共に、展覧会を行うチルドレンズ・パレスⅡの下見に出かけました。
ここで譲二さんはTBSの福田さんからインタビューを受けました。
福田「これまで第二部ワークショップで三日間生徒たちと過ごしたわけですが、どのようなことを感じましたか? もし第一部と第二部の違いなどあれば、そのあたりも」
橋口「この時間が二度と訪れないであろうことを察知して、第二部の子たちは瞬間的にものすごく集中しています。それが第一部の生徒たちとの一番の違いだと思います。全員同じ場所で撮影するということは最初はいろいろ心配したのですが、市場という共通モチーフにしたことで、より一人一人の違いや個性が際立ったと思います」

チルドレンズ・パレスⅡ
ここについたてを置いて写真を展示します
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お昼の片付けだけでなく、
準備まで手伝い始めたヴォン
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また瀧澤さんと一緒に時間を過ごせることが
嬉しくてたまらないヴィ
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どんなに言って聞かせても、
やっぱり昼寝をしないバオ
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<午後>
昼寝の時間、午後からどこへ行こうかと話し合っていました。そして海へ行こうという結論に至りました。
一つの理由は、海だったら遺跡やお寺やテーマパークとは異なり、様々なモチーフがあるからです。そしてもう一つの理由は、写真を撮るのと同時に、ふだん遊ぶ時間がほとんどない生徒たちに、一緒にいる時だけは子供に戻って思いきり自由な時間を楽しんでほしい、という思いがあったからです。
これまでいろいろな場所でワークショップをしてきましたが、こういう選択をしたことはありませんでした。しかしたった3日あまり生徒たちと接してみただけで、彼らがふだん「子供」として遊ぶ時間がほとんどないということが身にしみてわかりました。いわば「子供」であることが許されない日常だということです。写真にも向き合ってほしいけれど、楽しんでももらいたい。そんな思いが強くありました。
「午後は海へ行きます。でも遠足じゃないよ。ちゃんと写真を撮ろうね」
そういうと、生徒たちからは歓声があがりました。
いつもホテルとチルドレンズ・パレスの移動に使っていたワゴンタクシーを4台呼んだところ、この街には3台しかないということでした。スタッフ、生徒たち、手伝いの生徒たちがぎゅうぎゅう詰めになってまず座り、小さなユンやフォンは膝に乗せ、バオやタンは隙間に詰めこみ(失礼!)、なんとか総勢23名(!)が3台に乗りました。
海では手伝いのダットがお気に入りの、静かで適度に日陰のできる砂浜を教えてくれました。私たちは海の家のおばさんからブルーシートを借り、そこで待機することにしました。生徒たちは前日と同様、ダット、ロン、ヴァン、ミン、そしてあらたに加わったヴィをリーダーとして、二人ずつ5組に分かれて行動することとしました。
生徒たちはあっという間にほうぼうへと散らばっていきました。この広い海で、モチーフを探すのに苦労しやしないか、という心配も若干はあったのですが、そんな心配はまったく不要でした。生徒の気持ちがはやってずんずん先を歩き、手伝いの生徒があたふたとやっと追いついていっているようでした。
ヴォンが砂浜をものすごいスピードで歩いている姿が小さく見えます。どんどん姿が小さくなっていきます。もしかしたら遠く漁村のほうまで行くつもりなのでしょうか。手伝いのダットが息を切らせてふうふういっている様子が目に浮かびました。
トゥイとニーは、波打ち際で寄せては去る波に興奮し、砂浜に残った自分の足跡にカメラを向けています。
彼らの嬉々とした様子を見ていたら、海に囲まれた街で暮らしていながら、彼らは滅多に海へ来る機会がないのかもしれないな、と思いました。つかの間でも彼らが楽しんでくれたらそれでいい。心からそう思いました。
帰りはまたワゴンタクシーを呼び、ぎゅうぎゅう詰めになりました。タンから、「家が近いので歩いて帰ってもいいですか?」と申し出があったので、彼だけ現地解散となりました。別れ際、タンは右手を差し出し、左手は胸に手を置く最敬礼の仕草で私たちに握手を求めてきました。じんときてしまいました。
(2008/01/14 星野)
<夜間学校 2007年8月20日>
海での授業を終えて一度ホテルへ戻り、休息をとったあと、私たちは第二部参加生徒たちが通う夜間学校を見学しに行きました。前々から見学したいとチルドレンズ・パレスのヴァンさんにお願いしてあったのです。
夜間学校はトゥイホアの繁華街の一角にありました。ベトナムの繁華街では、1階に商店が入り、2階より上が集合住宅になっている、いわゆるゲタ履きビルがメインですが、夜間学校はまさにそのような商店街の一角にありました。日本で夜間学校というと、昼間の学校を夜借りて行うというイメージが強いですが、普通なら商店が一軒入るところへ学校を作ったという感じです。夜の寺子屋、といったほうが近いイメージです。
1階の教室では5年生の授業をしていました。ワークショップに参加しているナム、トゥイ、アン、フォン、ニーが分数の授業を受けています。ここにいるはずのタンはいませんでした。昼間見る彼らとは少し表情が違って見えます。特にトゥイとフォンは髪をおろし、なんだか大人っぽく見えます。これが普段の彼女たちの姿で、ワークショップに参加している昼間は、思いっきり子どもに戻っているということなのでしょう。私たちは彼らの授業を邪魔しないよう、静かに教室を通り抜け、奥に入りました。

道路から見た教室の様子。
まさに商店スペースを改造したという感じです。
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5年生の授業。ナム、トゥイ、アン。
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夜の寺子屋のセンター長の先生(83歳)にお話を伺いました。元教員で、退職してからボランティアで寺子屋の運営に携わっています。この寺子屋は翻訳すると「暖かい手中心」といい、12年前に設立されました。運営資金の3割をオーストラリア政府、1割を人民政府が担い、あとは様々なスポンサーや、フーイェン省の市民からの寄付に頼って運営されています。トゥイホアではここが唯一の存在です。人民委員会が教育局に要請し、ここで教える先生がたも教育局から派遣されています。
対象はストリートチルドレンや働いている子、家のない子たちで、主な年齢層は10~17歳。学費は無料で、スポンサーからは教科書、文房具、お菓子、お米などの寄付も受けています。現在在学している生徒は50人ほど。ここを卒業すれば、少なくとも読み書きそろばんはできるようになるとのことで、これまでに300人くらいがここを卒業して巣立っていきました。
この寺子屋が設立されたきっかけは人民委員会からの要請だそうで、学校に通えず、字の読めない子どもが多いからということです。最初は小さな教室で始まりましたが、だんだん生徒が増え、現在のように教室が複数に増えました。設立されたのが12年前ということですから、ベトナムでドイモイ政策が軌道に乗って経済成長が加速し、経済格差が広がった結果、その代償として学校へ通えなくなる子が増えたのではないかと想像できます。
ここで留意したいのは「ストリートチルドレン」という言葉です。私はこの言葉を聞いた時、モンゴルのウランバートルやブラジルのリオ・デ・ジャネイロなどの、帰る家がなく、子どもたち同士で路上に暮らすストリートチルドレンを思い浮かべ、ベトナムにもそういう子どもたちが多いのかと思っていました。しかしヴァンさんに確認したところ、ベトナムで「ストリートチルドレン」という場合は、路上で宝クジを売ったり、その時々で物を売ったりして生計を立てる、学校に行けない定職のない子ども、という意味合いが強いようです。今回のワークショップ参加者では、タンがその範疇に含まれるようです。
生徒たちはどのように集められるのでしょうか? 先生がたが街へ出て行って、探して連れて来るのがメインだそうです。また人口家族児童委員会という役所がネットワークを駆使して、子どものいる家庭を訪問したり、各村々に告知を貼ったりして、学校へ行けない子どもを夜学に通わせることを親に説得するようです。この寺子屋に通う生徒たちはこの周辺の子たちですが、遠くの子たちは、その近くの施設に通うとのこと。コミュニティー全体が、子どもの教育に危機感を抱いていることが伝わってきました。

センター長が私たちを生徒に紹介してくださいました。
(左・譲二、右・秀実)
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3年生の教室の最前列で授業を受けるバオ。
ここには写っていませんが、最年長のヴォンも
この教室で授業を受けていました。
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今回ワークショップに参加した10人はどのように集められたのでしょうか? 「写真を撮る教室がある」といって興味を示した生徒たちだそうです。またセンター長は、「この10人はがんばる子たち」といいました。
「ここの子どもたちのために、ワークショップをもう一回開いてくださって、ありがとうございます。展覧会には私たちもぜひ行きたいと思います」とセンター長がおっしゃいました。その言葉には、なんとか彼らに色々なチャンスを持ってもらいたい、という思いがこめられていました。あきらめずに第二部ワークショップを実現させてよかった、と思いました。私たちは、生徒たちの教材や寺子屋運営のたしにしていただくため、100ドルを寄付することに決めました。
こうして寺子屋を見学できたことは有意義な時間でした。彼らは朝早くから仕事をし、仕事が終われば夜8時過ぎまでここで授業を受け、くたくたになってつかの間の眠りにつくのでしょう。話を聞いていた時にはただ漠然と「大変だな」と思っていただけでしたが、こうしてその現場を目の当たりにすると、それが10代の子にとってどれだけ苛酷な生活なのか、ようやく実感として持つことができたような気がします。バオやフォンが子どもに戻って昼寝もせずに走り回り、倒れてしまう意味がようやくわかりました。彼らにとってワークショップの時間は、純粋に子どもに還ることのできる、かけがえのない時間でもあったのです。
そんな時間も、あと2日で終わろうとしています。そう思うと、切なさが募りました。(2008/06/26 星野)
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夜間学校「Trung Tam Vong Tay Am」について by 橋口秀実
第二部の生徒たちが通う夜間学校は、日本語に直訳すると「暖かな手を取りあう施設」と訳せます。
教育訓練省という日本の文部科学省に当たる省庁管轄施設で、12年前にオーストラリアの援助の下に建てられたそうです。
ベトナム学校事情のコラムでも書いたようにベトナムの小学校は5年制となっており、この夜間学校でも小学1年生から5年生までの教育を行っています。また、先生方は教育訓練省より5名派遣されてきているそうです。
この学校に通う生徒たちは、施設の先生方が昼間学校に行かず働いている子供たちに声をかけて集めてくるそうで、現在は8歳から21歳までの生徒が約50人学んでいます。これまでに約300人の生徒が卒業していったとのことで、初めは字の読み書きができなかった生徒たちも、卒業する頃には読み書きができるようになって卒業して行くと、施設長は話してくださいました。
生徒たちの学費は無料となっており、施設運営資金は教育訓練省からの他に、フーイエン省に暮す人々から募った募金で運営されています。また、ノートやペン類も生徒たちへ定期的に配られているとのことでした。
ベトナムではごく普通の事として地域、会社内や公官庁機関内で募金を募ったり、施設職員の方が募金に回ることがあります。この募金で1人あたりが寄付する金額も、物価から考えると決して少なくない金額を募金し、およそ50,000~100,000ドン(約350~700円:1,000ドン=約7円)が私が見てきた中では平均的なようでした。
今回ワークショップを行った施設はトゥイホア市内にはこの1校のみとのことですが、フーイエン省内の他の地域にも同様の施設がいくつかあるそうです。またベトナム全体で見ても、こういった施設は少なくありません。
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<写真ワークショップ第二部 四日目 2007年8月21日>
いよいよ生徒たちと授業をするのも今日が最後です。今日は、昨日海で撮った写真をまず見てディスカッションをしたあと、それを合わせていよいよ写真展用の写真セレクトに入り、アルバムを作ります。どれも集中力が要る作業なので、最後まで時間が足りるかどうか、ほんの少し心配です。第一部の生徒は、最悪アルバムを作りきらなくても「あとは家で貼ってね」ということができますが、第二部の生徒は家に持ち帰っても貼る余裕や道具やスペースはないでしょう。今日ばかりは、なんとしてでも最後までやりきらなければなりません。
時間が足りなくなることを見越して、ずんずん授業を進めます。
これまでの3日間、ワークショップを手伝う第一部の生徒はヴィやミン、タンなど数人でしたが、日増しに口コミが広がってゆき、今日は大勢が来ていました。ワークショップで過ごした楽しかった時間を追体験したかったのでしょう。
橋口「タン、昨日僕たちは夜学に行ったんだけど、君だけ来ていなかったね?」
タン「昨日は家に帰って寝てしまいました。疲れて学校には行けなかった」
橋口「さあ、今日はアルバムを作るところまでいくから、集中しようね」

第一部の参加者、ホンヴゥ、
ハー、リーが来ました。
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写真を選ぶバオ(左)とタン(右)。
タンは少々お疲れ気味?
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まずナムの写真に目を引かれました。海とはいっても美しいものに目を向けるのではなく、ゴミや水だまりをフォトジェニックに撮っていました。エビの養殖や投網、牛なども、一歩近寄って撮っていて、興味の対象がはっきりしています。
橋口「ゴミにカメラを向けた人はいなかったね。どうしてこれに興味を持ったの?」
ナム「これも海岸の一部だから」
橋口「よくこれだけのものを拾い集めたね。たいしたもの。しかもちゃんと表現になっている。細かいことはともかくとして、君は才能がある。自信を持っていい。第一部の子たち、来て。ナムの写真を見てどんなことを感じますか?」
ヴァン「ぱっと見たらとてもきれい。ゆっくり見ると、アングルが面白くて、光がいいと思います」
ヴィ「一つ一つのものに集中してフォーカスしている。とても特徴がある」
ロン「シャッターを押すタイミングがいいと思います」
ダット「色と光がいい。新しいものが写っている」
橋口「彼は、目にとって気持ちいいものではないものを撮っているから、そこがすごいと思う。牛の人格もちゃんと写っているね。次は昨日までの写真と混ぜて、写真を選んでみよう。やってみる? 手伝ったほうがいい?」
ナム「自分でやってみます」
そういったナムは、とても誇らしげに見えました。
・昨日はどこまで歩いていくのだろうと心配になるくらい、姿が見えなくなるまで砂浜をずんずん歩いていったヴォンはどうでしょうか?
橋口「ヴォンは体力があるから、動き回りすぎたかもしれないね。あっち行きこっち行きして、集中していない感じがある。写真を撮る時は、歩くことも大切だけど、立ち止まることも大切だよ」
・お調子者のニャーは、その印象とはかけ離れて、海辺の植物にレンズを向けていました。
橋口「驚いたね。ニャーは印象と写真が全然違う。ダットは第一部のワークショップで海へ行った時、こういう植物に気がついた?」
恥ずかしそうに首を振るダット。
橋口「ニャーはふだんちょっと乱暴だけど、本当は優しいことが写真から伝わってくる。その優しさを大切にしようね。多分、照れ隠しで乱暴に振る舞ってるんだな。もっと自分の気持ちに素直になるといいよ」

トゥイを手伝うロン(左)とダット(右)
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・トゥイはまたボタンを触ってしまったらしく、途中で写真がパノラマに切り替わっていました。しかしパノラマ、非パノラマにかかわらず、叙情的な写真です。貝を拾う女性の脱いだ靴や洗面器が強く印象に残りました。
橋口「トゥイはよくここまで集中したね。小さい子を連れて大変だったけど、シャッターを切る時にちゃんと集中して、遊んでいない。よくがんばったね。
パノラマ以外もいい写真がたくさんあるんだけど、写真展で見せる時は思いきってパノラマで選んでみたら面白いんじゃないかな。どう思いますか?」
トゥイ「それでいいです」
橋口「第一部の子たち、集まって。トゥイの写真を見てどんなことを感じますか?」
ダット「パノラマのおかげで対象がフォーカスされていると思います」
ロン「偶然かもしれないけど、パノラマのおかげで面白い写真になった」
ヴァン「撮る角度が独特だと思います」
橋口「みんなパノラマに気をとられてるけど、彼女の写真は意図して作った写真ではないよ。撮る時、頭が整理されている。他の子たちはどう思う?」
フック「トゥイの内面から物語が出ていて、人生の意味が写真に出ていると思います。望みを感じます」
フックが発言したあと、今日初めて第二部の教室へ来たハーとリーにも意見を聞きました。
ハー「自然じゃない」
リー「何も印象はありません」
その発言に私は凍りつきました。
橋口「もしトゥイが意図してパノラマにしたとしたら、残りの写真がよくないはず。でも彼女は残りの写真もみんないい。彼女はちゃんと発見しているよ」
そう譲二さんがフォローしましたが、彼らは次の生徒の写真のほうへ行ってしまいました。
トゥイは二人の発言にすっかり気落ちし、地べたに座ったまま首をうなだれています。これはヤバイと思いました。
トゥイの写真があまりによかったため、彼女たちはつい嫉妬したのでしょう。初日から第二部ワークショップを手伝っている生徒たちは、第二部の子たちの置かれた境遇を理解し、時間をかけて彼らとの距離を日々縮めて今日に至っていますが、今日初めてここへ来て、いきなり第二部の子たちのいい写真を目にした彼女たちは、よくもわるくも気が動転したのでしょう。そのこと自体がトゥイの写真の力強さを証明しているわけですが、それは私たちには理解できても、トゥイにはそう受け止められないでしょう。学校へ行っている子にけなされた、そう彼女が思ってしまっても無理ありません。
これはまずいと思い、秀実君を呼んで通訳してもらいました。
「あなたの写真はとてもいいよ。写真がよすぎるから、多分彼女たちは嫉妬したんだと思う。だから自信を持って。何にも気にすることはないからね」
そういって、しばらくトゥイのそばに座っていました。トゥイは力なくほほえみましたが、じきにパノラマ以外の写真を全部片付けてしまいました。いくら慰めても、傷は残ってしまったようです。

どんな時でもマイペースで集中するナム
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テレビの取材を受ける橋口、通訳のヤンさん。
音声はニャーが担当。
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・ユンは昨日、いち早く戻ってきて、砂浜でフォンと一緒に遊んでいました。
橋口「ユンは昨日海へ行ってどうでしたか?」
ユン「楽しかった」
橋口「ユンは海が楽しくて、写真は遊びすぎたね」
フォンは、完全に昨日は遊びまくってしまいました。でも昨日の彼女の本当に楽しそうな姿を思い出すと、責める気にはなれませんでした。
・市場の写真では独特な空の切り取り方が印象に残ったニーでしたが、海でもやはり空に目を向けていました。
橋口「ニーは本当に空の入れ方がとてもいいね」
・アンは唯一、水中に目を向けていました。
橋口「アンの写真は風景もいいけど、足元もいいね。水中にまでなかなか目を向けないよ。死んだ魚も、絵のように写っている。アンは市場の写真もいいから、これは選ぶのが難しそうだ」
・他の子の写真を見るのに時間がかかり、バオとタンは最後になってしまいましたが、二人ともきちんと自分で写真を選んでいました。
橋口「バオは完全に自分で選べたね。いい写真でも、組む時は捨てることも大切なんだけど、バオは捨てる目もできている。バオは朝から働いているから、体力が落ちるけど、限られた時間の中ですごく集中できる子だね。3日間、レベルが落ちなかった。これはたいしたものだよ。
タンも昨日はよく撮ったね。ただきれいな海だけじゃなくて、そこで暮らす人の暮らしがよく見えてくる。動きがあってとても素晴らしいよ。よくがんばったね。昨日学校へ行けなかった意味もこれでわかった」
タンは白い歯をむき出しにして笑いました。
今日はワークショップのもようを、テレビ局VTVのフーイエン支局の記者が取材に来ていました。それでなくともわさわさしてしまうのに、第一部の子たちが写真を離れて後ろで騒ぎ始めていました。これまで生徒を手伝ってくれた子たちも、楽しさに流されてわいわいしています。

テレビのインタビューを受けるナム。
ニャーの音声も板についてきました。
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TBSの瀧澤さん(左)とニャー。
音声が楽しくなってしまった様子。
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橋口「みんなが来てくれて嬉しいけど、みんなが大勢いると、彼らが萎縮してしまう。彼らが集中できるように、彼らの立場に立ってあげよう。ここに残りたい人は、ちゃんと彼らを手伝ってあげて」
楽しそうにしていた彼らにはちょっと悪い気がしましたが、いって正解でした。いまワークショップの主役は第二部の生徒たちで、彼らが集中できることに全力を注ぐべきだからです。第一部の生徒たちは、最初から手伝っている子たちを除き、三々五々帰っていきました。彼らにもきっと意味は伝わったはずです。
テレビのディレクターに第二部ワークショップの感想を尋ねられました。
橋口「今回のワークショップを通じて、学校へ行っていない子の中にも表現する才能があることを再確認しました。そういう喜びを発見する手伝いをするのがこのワークショップです。みんな素晴らしい可能性を持っている。ただ、そのチャンスがないだけなんです。そのことを多くの人に知ってもらいたいと思います」

ニャーになつかれて困り果てた譲二さん
とにかく距離が近いんです
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生徒の昼寝も日増しに深くなっていきます
でもやっぱりバオとフォンはいません
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午後は、午前中に選んだ写真と、これまでの写真をすべて合わせ、写真展用のセレクションを行います。選ぶ手助けはしますが、まずは自分で考えて選びます。そして選び終わった人からアルバムに写真を貼りつけてゆきます。
「アルバムは大切に家に持ち帰ってくださいね」
そういった時、生徒たちの顔がふわあっと明るくなりました。自分だけの宝物を持ち帰れることの喜び、なのでしょうか。見ているこちらの心まで温かくなります。
午後に入り、スタッフの仕事はてんやわんやの様相を呈し始めます。引き続き生徒の写真選びを手伝いながら、同時進行でネガ出しをしなくてはなりません。というのは、生徒は選んだ写真をアルバムに貼り、残りの写真はみな持ち帰るため、私たちの手元には写真が一枚もなくなるからです。写真展は2日後。誰がどの写真を選んだかをきちんと記録してネガ出ししておかないと、写真展用の写真がプリントできなくなってしまいます。それをしながらアルバム作りにアドバイスをしたり、走り回る子を注意したり、てんてこまいです。
細かい話になりますが、ネガ出しというのが、これがまた厄介な作業なのです。ネガというのは当然のことながら正像と逆で、色がありません。自分が撮ったのではない写真のネガを探すのは、素人にはけっこう難しい作業なのです。少なくとも自分にはまったくこの才能がないことが、前の晩ホテルでネガ出しをしていた時に判明しました。これには画像認識能力というか、瞬時にその画像の構図を認識する能力が求められます。やはり美術をやっている人が得意なようで、塚田さんや美穂さんがさくさくとネガを選んでいく様子を、私はただ感嘆して眺めるだけでした。

ネガ出しをする塚田さん
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ヴィも黙々とネガ出しを手伝います
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「僕らにもやらせて!」と、
ネガに興味津々なナムとタン(右二人)
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教室では乱暴者なタンでしたが、写真を貼る時は
驚くほど几帳面でした |
いよいよアルバム作りも大詰めです。ヴォンは「字が書けないから」といって、アルバムのタイトルを第一部の生徒に代筆してもらっていました。その気持ちはわかりますが、できるだけ自分の手で書いてほしい。
「できるだけ自分で書くようにしようね」
するとニャーは、地面にはいつくばり、震える手で慎重に慎重に字を書き始めました。その様子を見ていたら涙が出そうになりました。その震える字には、彼の誇りがいっぱい詰まっていました。やっとのことで書き上げて立ち上がったニャーにガッツポーズを送ると、彼はくしゃくしゃの笑顔を返してくれました。

アン(左)のアルバムを真剣に見つめるミン(左2)。
ミンはこの3日間、ずっと静かに
第二部の生徒を支え続けてくれました。
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トゥイ(右)のアルバム作りを手伝うハー
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実は教室内では気づかず、いま写真を見ていて気づいたことがあります。トゥイのアルバム作りを、第一部の生徒のハーが手伝っていました。午前中にトゥイの写真を見て「自然じゃない」といった、あのハーです。あのあと帰宅したと思っていたのですが、いつの間にか教室に戻ってきていたようで、静かに自主的にトゥイを手伝っていたのです。とっても素敵なことだと思いました。
刻一刻と終わりの時間が近づいてきます。一人一人にワークショップに参加した感想を聞きたかったのですが、ニーもユンも、やはり言葉に詰まってしまい、黙りこんでしまいました。ナムがそっと手を挙げました。
ナム「3日間参加して、友達がたくさんできました。先輩たち(第一部の生徒)は優しく接してくれて、日本の皆さんも熱心に教えてくれました。どうもありがとうございます」
橋口「最初は途中で事故が起きることを心配したけど、とにかく何事もなく無事に終わってよかったです。君たちの作品が展示されたら、多くの人がびっくりすると思います。先輩たちの写真も一緒に展示します。だから自信と誇りを持ってください。そして、そのことを時々思い出してあげてください」
(2008/06/27
星野)
作品タイトル
| 名前 |
タイトル(原題) |
タイトル(日本語訳) |
| ナム |
Biển Trời Mênh Mông…
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広い海と空 |
| ヴォン |
Tôi Nhìn…
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私は見る… |
| ニャー |
Biển Xanh
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青い海 |
| トゥイ |
Quê Hương Tôi
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私の故郷 |
| ニー |
Tuy Hòa Quê Em
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私の故郷トゥイホア |
| アン |
Quà Tặng Cuộc Sống
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生活の贈り物 |
| フオン |
Quà Tặng Cuộc Sống
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生活の贈り物 |
| バオ |
Cuộc Sống Quanh Ta
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私達のまわりの生活 |
| タン |
Sức Sống
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生命力 |
| ユン |
Cuộc Sống Quanh Em
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私のまわりの生活 |
<展示 @チルドレンズ・パレスⅠ 2007年8月23日>
展覧会/チルドレンズ・パレス Ⅰ&Ⅱ
8月23日~8月24日(Ⅰ)
8月24日~8月25日(Ⅱ)
第一部、 第二部の生徒が初めて一緒になって写真の展示をする日です。
会場となるチルドレンズ・パレスⅠ(これまで授業をしてきたのはチルドレンズ・パレスⅡ)に着くと、ものすごい数の子どもたちであふれかえっています。そもそも、フーイェン省じゅうの子どもたちが集まってここへ宿泊しながらキャンプをするイベントがあるということで、たくさんの人に見てもらう機会になるという理由から、ここが前半の展示会場として選ばれたわけですが、あまりの喧騒に少々不安になります。
この喧騒の中でうまく展示ができるでしょうか? また第一部の生徒の中の数人はそのキャンプにも参加するようで、集中できるかどうかが少し不安です。
ともかく生徒たちを全員テラスに集め、輪になりました。
橋口「騒然としていますが、今日は10日間の成果を発表する大切な場です。これからみんなで写真を一枚一枚貼っていくわけですが、気持ちのこもった写真ですから、大切に貼りましょう。自分の分が終わっても遊んだりしないで、自分にできることを考えて他の人を手伝うように。
一部の人たちはもう顔見知りだけど、今日初めて会う友達もいるので、まずは自己紹介をしましょう。順番に立って、自己紹介してください」

自己紹介をする第一部のフイ
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第二部のナム
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第一部の生徒はこういう場に慣れているのか、普段通りに自己紹介をしましたが、第二部の生徒は気後れしてしまい、なかなか大きな声を出すことができません。アン、ニャー、トゥイ、バオは立ち上がりはしたものの、とうとう声を出すことができませんでした。ちょっとショックでした。
チルドレンズ・パレスから借りてきたパネルには、以前CPで行ったワークショップの絵画が貼られたままだったので、生徒にはそれらの作品をはがし、両面テープをきれいにはがす作業をしてもらいました。するといきなり絵画をビリビリ破ってはがした生徒がいたので、譲二さんの怒号が飛びました。
橋口「人が作った作品を乱暴に扱ってはいけない。はがす時は丁寧にはがすこと。もしも君たちの作品がそんな風に他の人からびりびりに破られたら、どんな風に感じる? 傷つくだろう? 誰が作ったものであっても、人が心をこめて作った作品には敬意を払わなきゃいけないよ」
きれいになったパネルから順に、譲二さんが生徒の写真をレイアウトしていきます。各生徒の写真の総合イメージを掴みながら、そのパネルごとの特徴を作り、隣にはどの生徒の作品を並べるかを瞬時にレイアウトしていきます。すべての生徒の作品イメージが頭に入っているからこそできる方法です。
その間、私は授業中にデジカメで撮った各生徒の写真のレイアウトイメージをPC画面に出し、各生徒の展示用写真を選び出していきます。膨大な数の写真から対象を選び出す、トランプでいうところの「神経衰弱」みたいな作業です。ところが前回も書いたのですが、私は画像認識能力が極度に足りず、なかなか速く選び出すことができません。これは生徒の助けを借りたほうがいいと思い、第二部のナムとタンを呼びました。
星野「この画像を見て、生徒の写真を選んで順番に並べてくれるかな」
ナムとタンは嬉々として手伝ってくれました。いちいちヤンさんや秀実くんを呼んで通訳してもらうのも申し訳ないので、「これを見て、ここから写真を選んでね」と日本語と身振り手振りで説明します。「OK」といって彼らはすぐさま仕事にとりかかりました。
まあその作業の速いこと速いこと。私がファイルを開くのにもたもたしていると、「次は?」と催促してくるほどです。そして私がもたついて手持ち無沙汰になると、他の生徒の写真をじっと見つめています。
うまく説明できないのですが、この時私は、ふだん働いている彼らの驚異的な集中力とのみこみの速さ、そして与えられた仕事を責任を持ってやりとげようとする意欲に感動しました。二人は16歳(ナム)と14歳(タン)ですが、仕事のしかたが社会人なのです。それだけに、彼らが置かれている状況、つまり一家の大黒柱として働きを期待されているという状況に複雑な思いを抱かざるにはいられませんでした。

まずはレイアウトを決めていきます。
左端の赤帽がナム、隣がタン。
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レイアウトが決まったら、貼る前に一度きちんと
並べてみます。
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それにしても暑いです。本当は構内で作業をしたいのですが、構内には子どもがいっぱいで、落ち着いて作業することができないのでテラスでするしかありません。直射日光が容赦なく背中から照りつけ、頭が朦朧としてきます。するとすっと背中が涼しくなりました。お調子者のニャーが気を利かせ、使っていないパネルを私たちの背後に立てかけ、私たちのために日陰を作ってくれたのです。優しい男です。
レイアウトができた順に今度は貼りつけていく作業です。両面テープで貼りつけていくので、一度失敗して貼ってしまったら写真がだめになってしまいます。この作業には手先の器用さと慎重さが求められます。美穂さんが指示を出し、第一部のチャウとチャンに担当してもらいました。

定規を当てて慎重に貼りつけていきます。
美穂さん、チャン、チャウ、通訳のヤンさん。
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バオ(右端)は指示された長さにテープを切って
準備しておきます。隣はミン。
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左からロック、クック、ヴォン、ハン。
ニャー(黒帽)は日陰を作っています。
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みんなで静かに作業をしていたところ、貼りつけが終わってたてかけていたパネルがいきなり倒れました。作業をしないで走り回って騒いでいた一部の生徒がパネルに激突したのです。第一部のタンとヴゥでした。再び譲二さんの怒号が飛びます。
橋口「どうして作品に敬意を払わないんだ! 君たちは自分が写真を撮り終わったらそれで終わりなのか? あとのことはどうでもいいのか? 僕は自分の作品はいつも大切にしてます。自分の作品が大切ということは、君たちの作品も大切なんだ。人の作品を大切にしない人は、自分の作品も大切にしない。そういう態度は一番腹が立つよ。最後まで責任を持とう」
貼りつけが終わったパネルには、続々と人が集まり、生徒たちが撮った写真世界に見入っていました。

自分の作品をじっと見つめるハー
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他の生徒の作品を見つめるロック
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チルドレンズ・パレスの職員の人たちは、生徒の作品の
クォリティの高さに驚きを隠せません。
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パネルをたてかけたそばから、キャンプに参加した
子どもたちが続々と作品の前に集まってきました。
同世代の子たちの作品に興味津々です。
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最後まで食事のあとかたづけをしていた
フォンとユン
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展示風景
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いよいよワークショップ最後のまとめと、表彰式を行います。
これまで各地で行ったワークショップでは、特に表彰というものは行ってきませんでした。生徒たちが撮った作品に優劣をつけるようなことはしたくなかったからです。
しかし第一部、第二部を通してこの約10日間、一生懸命友達を手伝ったり小さな子の面倒を見たりしてくれた生徒たちを見て、何か謝意を表したい気持ちが生まれました。またチルドレンズ・パレスのヴァンさんや塚田さんとも話し合ったのですが、ワークショップもやはり教育の一部だから、何か生徒を励ましたり勇気づけたりすることのできる賞ならぜひ授与してもよいのではないか、という結論に至りました。
前の日、スタッフ全員で話し合った結果、以下の賞を設けることにしました。
・Friendship
Prize(友情賞:友達や小さな子の面倒をよく見てくれた人)
・Documentary
Prize(ドキュメンタリー賞:作品を通して社会に目を向けた人)
・Photogenic
Prize(フォトジェニック賞:フォトジェニックな作品)
・Poetic
Prize(叙情賞:叙情的な作品)
・Good
Effort Prize(がんばりましたで賞)
・Most
Expected Prize(将来が楽しみで賞)
・Artistic
Prize(アーチスト賞:最も芸術的に優れた作品)
橋口「10日間かけて、やっとここまでたどりつきました。みんな、最後までありがとう。
ここにみんなの作品があります。僕は、自分の作品はいつも大切にしています。自分の作品を大切にするということは、君たちの作品も大切だということ。だからさっき作品のそばで騒いだ人には怒りました。自分が作り出したものに最後まで責任を持つこと、それはとても大事なことです。
今日は人が多くてわさわさしているけど、ぜひまたここへ来て、自分や友達の作品と静かに向き合ってみてください。
みんなよくがんばったね。みんながこれほど多様な世界を持っているとは、思っていませんでした。これからいろんな生活が君たちを待っていると思うけど、自分に自信を持ってください。誰もが素晴らしい世界を持っているのだから。
みんなが作ったアルバムには、2007年8月の君の気持ちが写っています。5年後、10年後の君が何を考えながら生きているかはわからない。きっと今とは変わっているだろう。でもそんな時、このアルバムをまた見てみてください。きっと、違う世界が見えてくるはずだから。
それでは授賞式に入ります。名前を呼ばれた人は前に来てください」
みんな緊張と期待に満ちた表情を浮かべています。
・Friendship
Prize:フイ(Ⅰ)、ミン(Ⅰ)、ヴォン(Ⅱ)
・Documentary
Prize:ヴァン(Ⅰ)、ハン(Ⅰ)、アン(Ⅱ)
・Photogenic
Prize:トゥ(Ⅰ)、ニー(Ⅱ)、トゥイ(Ⅱ)、ニャー(Ⅱ)
・Poetic
Prize:ロン(Ⅰ)、ヴィ(12, Ⅰ)
・Good
Effort Prize:ユン(Ⅱ)、フォン(Ⅱ)、タン(Ⅱ)
・Most
Expected Prize:バオ(Ⅱ)

ドキュメンタリー賞のヴァン
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フォトジェニック賞のニー
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授賞してはにかむタン
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アンもとても嬉しそう
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そしていよいよ、アーチスト賞の発表です。
星野「最も芸術的作品を作った人に贈るアーチスト賞は、ナムです」
歓声とどよめきが沸き起こりました。ニャーとタンが、ナムの肩を叩いて祝福していました。

友達たちに祝福を受けるナム(赤帽)
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最後の授業
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橋口「これは成績ではないので、残念ながら授賞しなかった人も落胆しないでください。ロック(Ⅰ)やヴィ(14, Ⅰ)もアーチスト賞の候補に挙がっていました。
みんなもう気づいていると思うけど、第二部の生徒には全員賞をあげました。それは、困難な生活環境の中で努力をして生きていることに対する敬意です。
みんな、写真展にもう一度足を運んで、ぜひ自分や友達の世界と向き合ってください。写真を撮っている時とは、また違ったものが見えてくるはずだから。これをワークショップ最後の言葉にして終わりたいと思います」

女生徒にもてもての秀実くん
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おとなしいマンも楽しそう
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チルドレンズ・パレスのカメラマンのおじさんに
チューされる譲二さん
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トゥ(左)と美穂さん
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(2008/06/29 星野)
<出張絵画ワークショップ 2007年8月22日>

海辺のワークショップ会場
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実施日 :8月22日
会場 :アンフー小学校近くの海岸
参加者の数:20人
写真ワークショップと展覧会の合間の一日、絵画ワークショップを行いました。場所はトゥイホア市郊外(車で約40分ほどの海岸沿い)のアンフー小学校で、2年生から5年生までの生徒、20人です。写真ワークショップと同様、絵画の技術を教えるのではなく、自分の感情を表現することを通して対話を重ね、それまで気づかなかった自分や友達の個性を再発見し、表現する喜びを共有しあうことを目的としています。そのために選んだ絵画のテーマは「友だち」を描こうというもので、かつてインドにおいても試みたものです。

WSを始める前に生徒たちに挨拶をする橋口とみんな
(左からロン、ヴィ、ミン、美穂さん、ヴァン、
譲二さん、塚田さん、通訳のヤンさん、星野さん) |
普段接している友だち同士であっても、互いにじっくりと向かい合い、観察しあうことにより、ただ絵を描くということだけではなく、個人として向かい合う時間を持って欲しいという狙いがあります。
このワークショップにも写真ワークショップ第一部参加者数名(ミン、ヴァン、ヴィ、ダット、ロン)に手伝いに来てもらいました。
WSを行う場所は、学校から徒歩5分くらいのところにある砂浜で、椰子の葉でできた屋根のついた、あずまやのような、風通しのよい場所です。日本からは㈱ぺんてるのご協力で、水彩絵の具とクレヨンの両方を用意してきましたが、生徒たちはこれまで水彩絵の具を使用したことがない、と先生から伺ったこと、そして水彩絵の具に適した画用紙がこの日までに用意できなかったために、技術や経験を問わずに使えるクレヨンを使用することにしました。
まずは譲二さんから生徒たちに質問が投げかけられました。
「写真と絵の違いは何だと思いますか」
リン「絵は手で書くからまっすぐの線がないけれど、写真はまっすぐの線があります」
フック「写真は本物があるけど、本物のものじゃないかもしれないです」
橋口「写真はアッ、と思ってシャッターを押せばそのままが写りますが、絵は目で見て、それが脳にいって、そこから手に伝わるまで時間がかかります。目で見てまっすぐに見えても、手で書く時点でそうならないことだってあります。例えば赤い帽子も、気持の持ち方によって変わってくるかもしれないから、赤に書く必要もありません。うまく書かなくてもいいということは忘れないでください」
ワークショップは20人の生徒が2人組みのペアとなり、交互にモデルを交代しながら行いました。友達が描いている自分を覗き込みながらモデルをする子、ホクロまで丁寧に描く子、絵を紙いっぱいに書く子、などなど様々でした。またクレヨンでを塗るようになると、友達の顔を緑色に塗る子、白く塗る子、色を全体的に薄く塗る子、反対に濃く塗る子と、色の塗り方一つとっても千差万別でした。

友達の顔をよく見て描きます
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友達が書いている自分が気になる生徒
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(昼食前、WS会場から昼食を取る場所へ移動している時、ちょうどカフェのテレビで、先日取材を受けた地元テレビ局で私たちのワークショップのもようが流されていました。この日以外にも放送された日もあったらしく、トゥイホアの街を歩いていて「テレビを見た」と声をかけられたこともありました)
午後からは、生徒たちの描いた絵をもとにディスカッションを行いました。1人1人全員の絵から「君の良い所はここだよ」と、個性やその良い部分を見つけ出してゆくという対話です。
橋口「書き終わって少し時間を置いて、改めて絵を見てどうですか」
トゥイ・ハン「とても楽しいです、色がきれい。自分で絵がかけて楽しかったです」
ティ「とても嬉しい。色がとても明るいです。とてもきれいに見えます」
ミー・リン「色がとてもきれいです。楽しかったです」
フック「はっきり書いているので、気に入っています」
キエム「僕の絵はあまりきれいに見えません。とても小さいです」
橋口「でもズボンの色がとてもきれい。他の人は色が薄いけど、君はよく塗っています」
橋口「何故君は横向きに書いたのですか」
ティン「彼女がよく横を向くからです。(絵は)とてもきれいに見えます」
ミー・ハン「(絵は)あまり好きではありません。本人とあまり似ていないからです」
橋口「唇の辺りの特徴はよくとらえていると思います。似て、そのまま描くのも一つだけど、それだけがキレイだとは思いません。顔の大きさや、体の大きさの比率を正しくしなければならないこともないんです。自分が思う特徴を強調する事も大切なことです」
ハオ「描けてとても楽しかったです」
橋口「君の絵からは、堂々とした印象を受けます」
フオン「頭の形がきれいに見えません」
橋口「でもカー君(モデル)の耳の形がよく描けていますよ」
当初「人を描くのは難しい。(絵画の)技術を教えてください」と不安そうな顔で話していた美術のフン先生も、出来上がってきた作品を前に橋口がそれぞれの絵の良い部分を伝えながらディスカッションを続けてゆくと、次第に先生の顔もほころび、温かい眼差しで生徒一人一人の作品を、そしてWSの進行を見守っていました。
また最後には、チルドレンズ・パレスで美術のクラスを担当する塚田さんから、生徒たちへメッセージを伝えました。
塚田「私達はあまり絵の描き方を教えませんでした。みんな、自分の目で見て、自分の描き方で描きました。自分の目で見て、感じて、美しいと感じる事がとても大切だと思います。絵を描く時や、勉強する時、先生に教わる事も大切ですが、自分で考えて楽しさを発見する事もとても大切だと思います」
橋口「今話したことは、今気づかなくてもいいですが、そのうち塚田さんが話していたことが分かるかもしれません。自分で探して、確かめることを大切にしてください。絵が上手い、下手という才能には、それ程差はありません。ただしっかりと見て、しっかり届けることが大切です。今上手くかけなくても、焦ることはありません。時々学校に行く途中や家でキレイなものを探す努力をしてください。本当は時間をかけてこういう事を出来ればよかったのですが、フーイエンの街で時間を使ってしまい、1日しか時間をとることができませんでした。また時間を作って訪ねたいと思います」

生徒の作品を手に話す塚田さん
右は美術のフン先生
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絵を見ながら1人1人と対話をする
左から橋口、星野、塚田
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絵画ワークショップも、写真ワークショップ同様、片方から何かを発信するのではなく、双方向性のあるワークショップとなったのではないかと思います。現在のベトナムでは、美術の授業は「美しく描くことを教える」という教育方法で行っているため、ワークショップ開始当初は、アンフー小学校で美術を担当する先生も不安そうな顔をされていました。しかし、午後より行った生徒たち1人1人と橋口との対話を見てゆくうちに、顔の表情は柔らかくなってゆき、最終的にはとても温かい眼差しでワークショップを見守ってくださり、固い握手を交わすことができました。私たちの意図が伝わったと確信できる瞬間でした。

このあたりの典型的な風景
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期待と不安で緊張気味の生徒たち
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ロン、ヴァン、ミンたちが生徒を手伝います
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子供たち1人1人とのディスカッション
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生徒たちの作品
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生徒たちの作品を並べる塚田さん
後ろに点在しているのは漁船です
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海辺で記念撮影 |
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