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皆様へ
遅くなりましたが、ベトナムでのワークショプのDVD、ベトナム語字幕つきの「こんにちは、みなさん」が完成いたしましたので、ここにお知らせいたします。APOCCのスタッフ全員が仕事を抱えている為に僕らの活動は亀のごとく、インドの牛以上にトロトロとした歩ですが完成したDVDを見てやっと自分たちが目指していたワークショップが見えてきたという手ごたえみたいなものを感じとっています。星野が思わず「9年かかりましたね」と感想をもらしましたが、僕自身も同じ様な気持ちです。
それはDVDを完成させられたから良かったというレベルの話ではなく、今まで途切れていた何か、具体的に書くと「こんにちは、みなさん」を間に挟むことで、気持や記憶の共有を確かめあうことが出来るかも知れないということです。
僕らはこれまで、多くの人たちの助力をもらい現場を作りワークショップを継続して試みてきました。参加者が撮った写真に写し込まれた感情を共通言語に置き換えての対話、そしてアルバムや画集作り、最後はワークショップを試みた地での展示、展覧会と試行錯誤を重ねながらこれまでやってきました。そして現地での新聞報道、TVニュース。帰国後もNHK・TBSでの番組放送、単行本「対話の教室」とアーカイブとしてもそれなりに実績は積み重ねてきています。それでも僕らの中には「まだ違う、何かが足らないのでは、僕らの自己満足ではないのか、アートワークという名の押し付けや暴力行為ではないのか」といった疑問が2000年にインドから帰国してしばらくして僕の心の隅に宿り始めました。それは他人の生活空間にワークショップという非日常を持ち込んでいる自分自身に対する問いでもありました。そんな疑問や問いの片方ではアートワークだからこそ生まれる何かがあるのではないだろうか?アートワークを試みることで、そこに生まれる可能性をインドのデカン高原やガンジス河縁で掴みかけたのも事実です。
可能性と疑問を抱えながらも2000年以後も少なくない人たちや組織の助けを借りながら、今日まで各地でアートワークを積み重ねてきました。継続して試みを重ねてきたことでやっと「こんにちは、みなさん」にたどり着くことができました。お陰様でこれまで途切れ途切れで存在していたものが一本の線として繋がった気がします。それは「こんにちは、みなさん」を間に挿むことでこの先、参加者や関係者は勿論のことですが、ワークショップを試みた国々の人たちや地域の人たちとの記憶の共有です。そしてワークショップ参加者が撮った写真の中に写し込まれた感情に触れた人たちの中に芽生え生まれた感情や他者に対する思いやりの感情と畏怖の念。幾つもの方角から生まれる気持や記憶を共有できるという可能生の手ごたえめいたものを今感じています。
言わずもがなですが、ここで生まれる気持や記憶の共有は相互理解や、生きる力に転化し繋がることだと思うのです。
時間はかかるかと思いますが「こんにちは、みなさん」は僕自身の手でベトナムでも上演会を開くつもりでいます。ただ残念だったのは、ワークショップそのものを収録した映像を、「こんにちは、みなさん」の冒頭部分で生かせなかったことです。ですが、この度のDVD制作の経験を生かしスタッフの充実を図りながら、少しずつインドやドイツでのワークショップもDVDに纏められたらと考えているところです。これからも亀の如く牛のごとく時間はかかるでしょうが、自分自身の作品づくりと並行させながら、ワークショップが持つ可能性を確かめ続けていくつもりでいます。どうぞ宜しくお願いいたします。
2009年8月1日 橋口 譲二
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